人間関係の中で学べること

不登校・登校拒否や学校についていけないなどの色々な悩みを抱えている子供のため、東京家学はスタディ・パートナーとして大学生をつけています。子供にとってお兄さん、お姉さんのような感覚で接してもらうには、大人よりも年齢の近い大学生が向いているからです。

大学生と接する中で、勉強を一緒にするのももちろんですが、人間関係を学習していきます。人間という言葉が人の間と書くように、他の人間とのかかわりをもつ中で成長や気づきが生まれてきます。特に年齢が少し離れた人との関わりは大事です。

今の学校制度はこれをあまりとりいれていませんけれども、
昔の日本には年の少し離れた人との関わりをとりいれた教育制度がありました。


その中でも最も有名で、かつ効果的だったとされているのが、
江戸時代の薩摩藩が採用していた「郷中(ごじゅう)」です。


郷中制度によって、薩摩藩士の子供は

小稚児(こちご、6-10歳)
長稚児(おせちご、11-15歳)
二才(にせ、15-25歳)

の年齢ごと分けられました。


そしてこの年齢別区切りの中で、
自分より高い年齢の子供から勉強を教わり、
自分より幼い子供に教えることで自分も学ぶ、という制度です。

年長者の役割は年少者に勉強を教えるだけではなく、
礼儀をしつけたり、喧嘩の仲裁をしたり、いじめを厳しく罰したりと、人間関係の面倒をみる面もありました。

薩摩藩士の子供たちは、机の上の勉強に加え、マナーや常識も、
自分より少し年長のお兄さんとの関わりの中で自然に身に着けていったわけです。

この教育制度の成功もあって、薩摩藩は優れた人材が多く輩出し、
幕末の転換期に大活躍することとなりました。


こういった「人間関係の中で学ばせる」式で成功した過去の制度から、
現代日本教育機関が学べるものがあるのではないかと思っています。

多々羅