本を読む子供に育てる方法1 両親が本好きな場合

不登校とはあまり関係ないのですが

「子供がテレビやゲームばかりで、本を読ませたいのですが・・・」

というご相談をいただく場合があります。特に、ご自身はあまり本をお読みにならないご両親の場合、自分の体験が参考にならないのでお悩みになることが多いようです。

とはいえ本を読む習慣をつけるというのは非常に大事です。読書は自分で情報を収集し、物を考える第一歩となります。語彙が増えることは思考力も伸びにつながると言われております。それに読書を通じて色々な考え方、人の思い、ステキな物語に触れることで人生が豊かになります。


そこで、子供に本を読む子に育ってほしいご両親にとって
参考にして頂ける(かもしれない)エピソードを一つご紹介します。


〇読書家の両親の子供が、徹底的な本嫌いに

以前に弊社でみさせていただいていた女の子で
「わたし、本、大嫌ーい」と言う子がおりました。
(したがって国語の読解も大の苦手でした)

「本を読まないご家庭なのかな」と思ってちょっと聞いてみると、
驚いたことに、ご両親はお二人とも大の読書家だそうです。
家中、本がいっぱいだ、というのです。


そんなに本に囲まれた環境で育ったのに、なぜ本嫌いな子に?

と思ってもう少し聞いてみて、わかりました。
どうやら、両親が「読め、読め」と薦め過ぎたようなのです。

ご両親たいへんに本を愛する方々で、
子供がさずかった時点から既に

「この子も私たちと同じように本好きな子に育てよう!」

と決意なさっていたそうです。


そこで、絵本から始まって童話、児童書、児童文学と子供の年齢に従って

「これ、読んでみなさい。面白いよ」
「これも面白い本だよ」

と、次から次へとせっつくように薦めまくったそうなのです。

そのため子供としては、本を「親が無理やり読ませようとするもの」と認識してしまい…
「もうヤダ!」ということで、本なんか見るのも嫌だという子になったのでした。

いやはや、子育てとはままならないものですね。


〇無理に薦めず、自然に手にとらせるのがコツ

なおその子は長女で、妹さんがいらっしゃいました。

ご両親は長女が思惑はずれに読書嫌いになってしまったため、
大いにがっくりなさり、おそらくは反省なさったのだと思います。
次女からは教育方針をお変えになったようです。

長女の時とは逆に、本を「読みなさい」なんて薦めることは一切なさらなかった。
ただ、家の中の多数の本棚の下の方に子供むけの本を並べておき、
たまに自分たちがそれを読むなどして、
次女が自然に本に興味を示し、自分から手にとりだすのを待ったそうです。

すると次女はなにげなく読み出した本から「本って面白い!」ということに気づき、
次々に濫読するようになり、ついに家の中の本では飽き足らなくなり、
図書館や本屋に自分から通う読書家に育ったそうです。


押し付けはよくなく、自然にそうなる環境作りが大事、ということのようです。


慶應大学と共同で、教育の観点から住宅コンサルティング会社を経営していらっしゃる四十万靖氏のご著書でもそういうようなことが書かれています。キッチンカウンターやトイレなど、あっちこっちに親子共同の「本のコーナー」を設け、自然に子供に読ませているご家庭の子供は読書好きに育ち易いためか、学校の成績も良いそうです。(参考 わたしが知らないスゴ本はきっとあなたが読んでいる「頭のよい子が育つ本棚」)


以上から、ご両親が本好きなご家庭にはもとより本が一定数あるでしょうから、
それをご両親の私室の本棚から分散させ、家の色々な場所に分けて置くことをお勧めします。
そしてそこに子供向けの本もいれておいて、自然に読む環境をつくるのがよさそうです。

以上、ご参考までに。