なぜ子どもの「うつ病」は未だ世間に認知されていないのか。 後編

先日の続きです。


社会人のメンタルヘルスについては公に議論されるようになったのに、

なぜ学校・教育の場ではそうではないのか。


断っておきますが、もちろん、不登校になるのはみんなうつ病なのではありません。

変に不登校うつ病という考え方を持たれるのも、偏見や対応に問題が生じるため、かなり危険です。


しかし、2〜3人に1人はうつを経験すると言われているほど、うつ病は自覚がなくて患っている方が多く、

それは子どもたちにも多くのことが言えるのです。

にもかかわらず、子どものうつ病はあまり知られていません。

加えて、不登校うつ病に関連性について、ご存じの方は数少ないものです。

その原因はどこにあるのでしょうか?

子どもがうつ病になるわけない、という思い込み。


うつ病がメジャーな言葉になったのは、先日も話したように、

職場環境における過労やストレスの問題が明らかになったことからです。


そのためか、うつ病は職場環境が原因で、社会人にしかならないという思い込みが大人たちの中で根付いています。

(子どものみならず、いわゆるニートと呼ばれている人たちに対しても、

心の病が原因ではなく、「甘え」「怠け」だとされがちなのもそのためかもしれません)

仮に子どもから「自分はうつかもしれない」と言われたら、「そんなわけない」と思ってしまう方が多いのではないでしょうか。


子ども自身、今自分に現れている症状を「うつ病」ということを知らない、理解できない。


さらにに、そもそも子どものうつ病は、大人のそれに比べて気付きにくいのです。


身体に何か異状があった場合、当然子どもは親を頼り、知らせます。

人間としての本能なのかもしれませんが、身体症状については敏感に察知し、報告することは簡単にできるのです。


ただし、心の病気はそうでないようです。

子どもはうつ病になった時、自分がうつ病であるとカテゴライズができません。

なぜなら、心の病気について知識のある子どもは、ほとんどいないからです。


身体の異状であるならば、例え何の病気かわからなくても「おなかが痛い」という風に表現することができます。

しかし、心の病気の場合、どのように親に知らせて良いのかがわからないことが多いのです。


とはいえ、今自分に異状が起きていることは事実なので、親に報告しようとします。

この時、子どもは「一番親の関心を引く報告」を手段として取るため、

心の病を「身体の異状」であるかのように報告します。


「熱っぽい」「身体がだるい」

・・・そうは見えないのに、子どもがそうやって報告してきた経験はないでしょうか?

ほとんどの人は、これを「ずる休み」と思い、怠けだとか甘えだというふうに捉えてしまいます。

しかし、心の病を抱えている子どもは、大抵このような手段しか持ち合わせていません。


子どものうつの現状


子どものうつ病が特別問題視されない理由がおわかりいただけたでしょうか。

大人には子どもはうつにならないという思い込み、あるいは幻想があり、

さらに子ども側からのSOSも気づきにくいものなのです。


しかし、その曖昧なサインを「怠け」「甘え」と一蹴してしまえば、ずっとこの現状は変わらないでしょう。

大人が敏感に察知し、適切に対応することが求められるのです。